旧ブログの記事を加筆修正して再公開しました
カンボジアに小学校を建設する際、その費用の半分はクラウドファンディングを活用して資金調達を行いました。
当時は「クラウドファンディング?なにそれ?」と聞かれることも多かったですが、最近は「クラウドファンディングを活用してみたい」という人や「どうやったらクラウドファンディングうまくいくの?」と聞かれることがあるので、活用した経験から工夫したことやうまくいった要因などをまとめておこうと思います。
クラウドファンディングをこれからやる人は、参考にしてみてください。
カンボジアの小学校建設で活用したクラウドファンディング
カンボジアの小学校建設を行うために、CAMPFIREというプラットフォームを活用しました。
目標金額は300万円で、掲載期間は2ヶ月間で設定。All or Nothingという形式を用いたので、期限内に目標金額へ1円でも届かなければ受け取れる金額は0。支援者にお金が全て返金されます。
2ヶ月間で169名の方にお手続きいただき、目標金額を少し上回る3,095,111円の資金調達に成功しました。その節は皆さん、本当にありがとうございました。リターンも配送済みですのでお楽しみください。
クラウドファンディングとはどんなものか
「そもそもクラウドファンディングって何?」って方のために解説します。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディング(Crowdfunding)とは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。
引用元:Wikipedia
インターネット上で「こんな企画がありますよ〜!協力してください〜」と呼びかけることができるサービスのことです。これによってホームページなどを持ち合わせていなくても、ネット上に企画を掲載することができ、多くの人に周知することができます。
クラウドファンディングの種類
またクラウドファンディングにはいくつか種類があります。
- 金銭的リターンのない「寄付型」
- 金銭リターンが伴う「投資型」
- プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」
ぼくは3番目の購入型で実施。ぼくのプロジェクトに対してお金を支払ってくれた人には様々な「リターン」と呼ばれるサービスを用意しました。
クラウドファンディング=募金というイメージが強いかもしれませんが、支払う金額に応じて権利や物品が受け取れるわけなので、提供するものに価値がないと支払ってもらえない可能性もあります。
ぼくが設定したリターンには、学校名や教室名を決められる権利や、C SQUAREDが製作してくれたテーマ曲の中に支援者が好きなワードを入れられるというものも用意しました。
商品が届くことよりも、一生そこに刻まれる名前やフレーズなどの価値をリターンを重視だろうと考えたからです。
国内で人気のクラウドファンディングのプラットフォーム
- CAMPFIRE:国内で最も多くのプロジェクトが寄せられているプラットフォーム。実際にぼくも利用しました。以前は手数料が20%でしたが今は17%
- READYFOR:日本で最初にクラウドファンディングサービスを開始した老舗。国際支援とか貧困問題のジャンルなどの成功事例が多い。
- Makuake:サイバーエージェントグループが運営する人気のプラットフォーム。個性的なプロジェクトが多く集まっている。
- きびだんご:手数料が10%のプラットフォーム。達成事例が非常に多い。成功率は80%と言われています。
クラウドファンディングのメリット・デメリット
続いて、クラウドファンディングを行う上でのメリットデメリットについてお話します。
クラウドファンディングのメリット
- お金を集めることができる
- 知名度が上がる
- 告知しやすい
クラウドファンディングのプラットフォームを通じて行うことで透明性のあるプロジェクトにできます。資金調達の過程や達成後のプロジェクトの様子を合わせて公開することで、さらに多くの人に知ってもらうチャンスにできます。
たまに個人や団体のSNSなどで個別にお金集めをする「闇クラファン」と呼ばれるものもありますが、リターンの約束が守られなかったり、プロジェクトそのものが実施されないままお金だけ持ち逃げされるケースもあるので気をつけましょう。
クラウドファンディングのデメリット
- とんでもないほどの労力と時間がかかる
- 設定金額に1円でも届かなければお金を受け取れない
- 現在は目標金額に達成しなくても集まった分だけもらえる制度もあり
- 手数料がかかり丸々100%は受け取れない
クラウドファンディングに企画を投稿しようと思ったら、それなりに時間がかかります。Facebookに投稿するような感覚ではできません。審査があって担当者との打ち合わせを経てプロジェクトが掲載となります。気楽に始めようとすると後悔すると思います。
クラウドファンディングのサクセスに向けて大切にしたこと
個人的に大切にしたことや工夫したことを紹介します。全部で8個。
- クラウドファンディングを理解する
- 情報を公開するタイミングを考える
- 自分の顔を出し自分の言葉で語る
- 何をするのか?より何故するのか?を伝える
- 達成した先の未来を見せる
- 活動に関する情報を常に公開する
- サポートしてくれる仲間を持つ
- 身近な人からお願いする
1.クラウドファンディングを理解する
勘違いしている人も多いかもしれませんが、クラウドファンディングを行うプラットフォームは、お金や支援者が集まる場所ではありません。お金を出してくれる支援者を集めるために、情報を公開できる場所です。
掲載されたら勝手に注目が集まるわけではなく、そのプラットフォームをベースに自分で拡散し、支援者になってもらうため告知をしていかなくてはなりません。
「お金を集められる」と思い込んでいると、誰にも注目されずプロジェクトが終了してしまいます。
2.情報を公開するタイミングを考える
ぼくは目標金額を300万円に設定しましたが、手数料がかかるので実際に受け取れた金額は240万円ほど。学校建設費用は350万円の予定だったので、全額を賄うことはできません。
目標金額をより高くすれば賄えるかもしれませんが、その分目標達成のハードルも上がるので自分の中で達成できそうな限界を300万円と判断しました。
そのため情報公開のタイミングを学校建設予定日の10ヶ月ほど前からスタート。掲載期間も上限より短く設定して、達成後は300万円の資金調達に成功した実績を持って、個別に応援してくれそうな企業や団体を回って補填してもらったりしました。
3.自分の顔を出し自分の言葉で語る
プロジェクトを公開したページに動画を貼り付けました。動画内では自分の顔を出し、自分の言葉でプロジェクトの内容を訴えました。
顔も知らない誰かの企画は信じてもらいにくいでしょうし、自分のことを全く知らない人に話を聞いてもらうためには、会えなくても動画が伝えやすいと考えたからです。
今見返してもとても恥ずかしい動画でしたが、サクセスできたのも動画があったからこそと思っています。「こんなことやります」っていう文面だけよりも、自分の声で、表情で、目線で伝える方が思いは伝わるのだと感じました。
4.何をするのか?より何故するのか?を伝える
カンボジアに小学校を建設するのは手段です。なぜ建てたいのかというと、教育の差によって人生に大きな差が生まれるからです。
ぼくが関わった村には小学校がありませんでした。一部の子が少し離れた村の学校へ通っていましたが、ある日1人の子どもが国道で車に撥ねられて亡くなってしまい、それから学校へ通う子はさらに激減してしまったという事実。しかし村には学校に通いたい子どもたちと通わせたい大人たちがいました。学校に行きたいのに行けない人たちを、置き去りにできなかったことが大きな理由です。
適切な教育を受けられないと、想像力が欠如し将来の選択肢が極端に狭くなってしまう。お金や物がないことより、考える力が失われることが深刻な貧困問題へ繋がると考えたからです。
5.達成した先の未来を見せる
プロジェクトを公開すると多くの意見や質問をもらいます。その全てに応えられる準備をしておくことが大切です。
例えば先ほど書いたように「なぜ建てたいのか?」という問い。そしてその先にはどんな未来が待っているのかを語れると納得してもらいやすくなります。
6.活動に関する情報は常に公開する
プロジェクトが始まるとついつい「あと○万円で達成です」とか「今日も○人の方にご支援いただきました」とか「あと○日で終了です」みたいなお知らせが増えてしまいますが、見ている側に立つとそれはあまり知らなくてもいい情報です。理由は見ればわかるから。
それよりも「建設予定地の村は今どんな様子なのか?」「子ども達の様子は?」「理想のゴールのために自分はどんなことを考えているのか?」「そのために今日何をしたのか?」という情報が重要。協力のお願いばかりせず、見える活動を心がけると興味を持ってくれる人も増えると思います。
7.サポートしてくれる仲間を持つ
人間、1人でやれることには限界があります。大きなプロジェクトほど仲間と一緒にやりましょう。自分にはできないこと、不得意なことはそれができる人にお願いしましょう。
ぼくの場合は代表的な部分では
- ページで使用する写真:実際に自分が現地で撮影してきたものを使い
- 文章:コピーライターの友人将太からアドバイスをもらって
- 動画撮影・編集:デザイナーの建太くんに全面協力
してもらいました。
また時には批判や皮肉も言われます。1人で見たらへこんでしまいそうなことも、仲間がいるとポジティブにとらえることができるし、何より1人じゃないという安心感は、原動力にもなります。仲間は大事。
8.身近な人からお願いする
資金調達は、ネット上の知らない誰かよりも身近な人からお願いしてみましょう。なぜなら友達家族に堂々とお金のお願いができないようでは、自分がそのプロジェクトの価値を心から信じていないことにも繋がるからです。
身近な人こそお金の協力はしにくいと感じるかもしれませんが、だからこそプロジェクトをやろうとしている自分の本気度が試されます。言いにくいってことはまだ自分のやることを自分で理解できていない。
ぼくは支援者が増えず焦ったいた時に、大学の先輩から「本当に協力してほしいならなんでお願いに来ねえんだよ。SNS書いてりゃ金出してくれると思うな」と言われてハッとしました。
クラウドファンディングをやると言われることなど
クラウドファンディングをやったことでいろいろ言われますが、全て勉強です。
人の金でやって楽しいの?
楽しいかどうかより、何が何でも実現したい未来があるから、目標を達成する手段としてやりました。
人からお金出してもらった割に遊んでるよね?
クラウドファンディングで集まった資金で遊んでいるわけではないので、大きなお世話だと思います。そして、これを言った人からは一銭ももらっていない。
お前がやる意味あるの?
ではあなたがやってくれますか?と思いました。
カンボジアの小学校建設のために活用したクラウドファンディングに関してまとめ
ぼくが実際に行った経験を元に、クラウドファンディングの解説と成功させるために大切にしたことを書きました。
ほとんどのプラットフォームが「成功報酬」という形でサクセス後に請求が発生するため、非常に取り掛かりやすいと思いがちですが、未経験者には本当にしんどい作業の連続だと思います。
一番いいのは実践した人にアドバイスをもらうことですが、ぼくの場合は近くにそういった人がいなかったのでわからないことも多く大変でした。
今後、クラウドファンディングを通じて世の中にアクションを起こしていこうと思う方たちの参考になればと思います。
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