
カンボジアに建設した小学校が11月に開校する予定なので、そこで使う机・椅子・黒板を集めていました。
上記の記事を読んでたくさんの方が動いてくれましたが、結果的にはダメになってしまったので流れをまとめておきます。
日本で探していた理由
多くの人は「現地で買えばいいじゃん」と言います。
確かに現地で買った方が輸入・輸出に関する手続きはいらないし、カンボジアにお金が落ちるし、それはそれでいいのかもしれません。
じゃなぜあえて日本で探していたかというと、いくつか理由があります。
1.まだ使えるいいものをゴミにしない
耐久性やクオリティといった日本製品に関する信頼もその一つですが、一番はリサイクルという仕事を通じて感じていた、今あるものから新しい価値を生み出す、ということを大事にしたかったからです。
日本の教育現場で使われていた学校什器は教育現場でのみニーズがあります。
昨今少子化の影響で、特に地方の学校は統廃合を繰り返しています。
複数の小学校が一つになり、もともと使われていた建物だけでなく、その中の備品も自然と役割を終えていきます。
まだ使えるものがほとんどなのに。
まだ使えるいいものでも、ニーズが限られている上に、これらの備品が活躍する学校の校舎と子どもの数は減っています。
2.買い替えや修理が少なくしたい
ぼくが関わっている小学校始め、カンボジアの多くの学校では電気がないところが多く見受けられます。
その為、窓から差し込む日の光がなくては黒板は見えないけれど、当たりすぎても反射して見えにくかったりといろいろな課題があります。
それに加えて、ボコボコの黒板では余計に光が反射してしまい、集中して授業を受ける環境は少なからず阻害されるのだと思います。
また、これはカンボジアに限ったことではないですが、どうしても歳の幼い子ども達は、物を雑に扱うことがあると思います。
その為、耐久性があるものの方が長く使えるし、修理や買い替えのコストを抑えることができます。
最近では軽くて丈夫な素材を活用している製品も多く、掃除や片付けの時に子どもの力でも机の持ち運びが昔に比べて楽になっていると感じます。
こういった点からまだ使えるいいものを、カンボジアで必要としている場所にまわしてほしいというお願いでした。
日本から送ることのメリット
もし日本で使われなくなった机、椅子、黒板をカンボジアまで配送することができれば、カンボジアの子ども達が勉強しやすくなるだけでなく、その配送に関して日本でも多くのことが生み出せます。
例えば、協力していただけた市区町村の教育員会が管轄している学校へ訪問し、無料で講演をする。
その場を使って、カンボジアの生活の様子を写真や動画で見せることで、今の自分たちとは違った環境の中でも生活している人々の存在を身近に感じることができたかもしれません。
また、自分たちが使っていた机・椅子などが近隣の大人達の協力により、海外の小学校に運ばれ、そこで子ども達が勉強ができるようになったと知ったら、大きくなったら行ってみたいという夢を抱く子、物の大切さを実感する子、今あるもので何ができるかという想像力を駆り立てる生きた教材になったのだと思います。
そして、その様子を地域のラジオやテレビ局にPRし、取材をしてもらい、例えローカル放送でもメディアを通じて放送されることにより、そこに関わった人たちの心境に何かしらの影響が出てくると思います。
テレビやラジオがダメでも、地元の新聞社やローカル雑誌など、広報する手はいくつもあります。
メインはぼくではなく、ぼくの活動の為に動いてくれた地域の人たちへスポットを当ててもらうことで、その周りの子ども達にも広がっていくものがあると思っていました。
同時に、ぼくが伝えられることは、例え個人でできることに限りはあったとしても、人はできることをして協力し合うことでできることは増えていくし、1+1が必ずしも2ではないという、人の可能性を証明することができます。
その可能性を信じて、いろんな人を巻き込んで動き続けたこの1ヶ月でしたが、残念ながら今回はうまくいきませんでした。
迅速な対応をしてくれた方達
最初に話を聞いてくれていたのは、千葉県の株式会社共進という会社の組田社長でした。
組田さんのサポートのもと、千葉市の教育委員会がまず動いてくれました。
千葉市の関係者の皆様は急なアナウンスにも限らず、非常に協力的で、迅速な対応をしていただけました。
使われていない分を、ぼくの関わっているみらいスクールの分だけでなく、シェムリアップの足りていない学校の分まで用意したいとまでおっしゃっていただきましたが、年度途中ということもあり、あえなく話は破談となってしまったのです。
次に動いてくれていたのは和歌山市の教育委員会でした。
こちらは、先日のトイレ建設に来てくれた悠が帰国後に動いてくれたもので、こちらも個人の呼びかけとは思えないほど迅速な対応をしていただけましたが、こちらも結果としてうまくいきませんでした。
その理由が輸出入に関することです。
輸入・輸出に関する障壁
ここで一つ課題となったのは、輸出・輸入に関するシステムです。
ぼくの知識や思考が甘く、個人間で送れるものだと思っていましたが、この場合貿易となってしまい、受け取り側は法人である必要があるとのこと。
これを貿易会社に勤める友人のやっちゃんに相談したところ、郵船ロジスティックスという法人がカンボジアまで野球道具や食品を無償で届けた実績があるとのことで、ここに掛け合ってみることにしたのです。
個人の話に掛け合ってくれるのかという不安もありましたが、話はトントンと進み、最終的に総務の判断待ちというところまで行っていました。
ただし正式に承諾されても受け取りは法人である必要があったので、カンボジアで会社を持つ勇太に相談したら二つ返事で「うちで対応できることならやるよ」とすぐに返事をくれました。
労力だけ増えて、何のメリットもないはずなのに…いい男すぎる。
結局、最終判断で頂いた答えは、海上輸送なら引き受けていただけるとのことでしたが、陸上輸送と輸出輸入の通関は引き受けられないとのことでした。
ということで海上輸送以外の手続きを、ぼく一人でやるのはとても難しく、和歌山の方で集まっていた分も正式に回収をお断りさせていただきました。
年度末まで待てば、いろいろ動きがあるのかもしれませんが、一番大切なことは11月の開講に全て間に合わすことです。
いろいろ揃うまで待っていたら、子どもたちもそれだけ年齢を重ねてしまう。
久しぶりに悔しい思いをしました
今回、この一連の企画の為にどれだけの人が動いてくれたのかと思ったら、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ぼくがどうこうしたというよりも、ぼくの周囲の人がいつも通り動いてくれて、繋がって、広がっていったご縁なので、ぼくの力ではないですが、形にしきれなかったことには自分の力不足も感じていて、悔しさでいっぱいです。
「いい挑戦だった」とも言っていただけましたが、形にならないとやっぱり悔しいし申し訳ない。
ぼくには結果を出すことでしか、応援してくれている皆さんに返せるものってないのだと思っています。
ぼくが何か新しく結果を出しても、支援者の皆さんにキャッシュバックがあるわけでもなければ、注目が集まるとも限りません。
それなのに、これだけ応援してくれている人がいて、「あいつ、また一つやりきったよ」っていうものを残し続けることで、「あいつでもできるんだ」っていう勇気とか希望みたいなのが、ほんのすこしでも生まれたらいいなって。
本当にそのくらいに思っているんです。
これまでも、これからも目の前の人を大切に、もう一度頑張ります
そして仲間には、こうも言われました。
「俺は何万人も動かすことができないけど、何万人も動かそうとしているたった1人の助けにはなれる。だから勇介のこと助けるよ」って。
今ぼくの周りには、呼びかけ一つですぐに助けてくれる人たち、動いてくれる人たちがたくさんいます。
決して有名になったわけでもないし、成功者でもないし、何もできていないのにです。
そうやって、周囲の人が積み上げてきてくれたもの一つ一つ思い返してきたら、これまで何してきたかとか全然関係なくて、形にできなかったことへの不甲斐なさばかり残ります。
結局、今回は最初にお名前を挙げた組田社長が、現地で購入するのに必要な費用をスポンサーとなって支援していただける形になりました。
今このことで現地では、駐在員でもないのに、ゆうとが動いてくれています。
この記事の中の登場人物的には少ないかもしれませんが、ここに登場してくれている人たちも、いろんな人たちに声をかけてくれて、ここまで見えた一つの形でした。
本当に悔しい。
形にしたかったし、描けていたことだったからこそ余計に。
それでも、有意義な時間だったと思っています。
次はどんなことができるか、もう一度ない頭使ってひねり出そうと思います。
引き続き北川勇介を宜しくお願いします。
コメントを残す